『私たちが通ったアメリカの学校ー小・中・高校フィールドワーク』(2011年自費出版,ISBN 978-4-901242-95-0)本書に描かれたのはアメリカの普通の公立学校の生活.あれから早10年・・・みんな元気にしているかな?学校はどうなっているだろう.2012年3月コロラドの春の日射しの中で『私たちの学校の今』を見つける旅が始まった.アメリカ庶民の素顔に迫る写真満載の続編スタート.Time goes by fast!

2012年5月28日月曜日

Baked!って言ってもねえ〜〜(その2)


ではBaked!の謎(?)に迫ってみよう.

手元にあるポテトチップスはF社のLay’s Baked!(以下B)とLay's Classic(以下C).二つとも手頃な食べきりサイズ.H高の自動販売機( 前回の写真)で売っているのもこの大きさで,ランチのサンドイッチやベーゴルのおともに一袋というのが標準的な食べ方である.まずはウリの脂肪の量を見てみよう.C:16g,B:2g,BはCの1/8,カロリーはC:240,B:130,ほぼ半分.わお!こりゃヘルシーだ!!ダイエットにもよさそう(ホントかな).ということで,今度からはBを食べようと思った方いますか?しかし,ちょっと待てよ.よく見ると一袋の量はB:31.8g,C:42.5g.あれっ?Cの方が重い.さらにServing Size 1packageとも書いてある.アメリカの食品のNutrition Facts(栄養成分表)は1Serving Size(ポテトチップスは28g≒15枚)あたりで書いてあるはずなのだが・・・

 実はBとCの本当(?)の値(1 Serving Size=28g≒15枚あたりの数値)は下の表のようになる.

* “ヘルシー” ポテトチップスには,P社のポップチップス(以下P)もある.(油で)揚げる,焼くではなく,高温で圧力をかけて作る.日本のポン菓子に似た製法である.参考までにその値も加えてみた.Pはかなり塩からそうだ

 同じ量で比べれば,Bakedの脂質は1/5,カロリーは3/4.確かに脂質はおさえられている.看板に偽り無しと言えるだろう.カロリーは「わお,半分!」と喜んではいけなかったようだ.一方,炭水化物はBakedの方が1.5倍になる.糖分も量が少ないとはいえ倍以上.脂肪に目が行きすぎると,ここを見落としてしまいそうだ.注意,注意!!

 BとC(食べきりサイズ)のように,Nutrition Factsが1袋当たりで書いてあると,実際に自分の摂取する量が見ただけでわかる.いちいち計算しなくても良いから便利だ.気になるのは二つの袋の量が違うこと.この場合,私も一瞬錯覚したわけだが,総量の少ないBを実際以上にヘルシーに感じてしまう危険性がある(もしかして,そう感じさせるようにわざとBの量を少なくしている?というのは考えすぎだろうか).そうなると心配なのは,それまでCを食べていた人がBに乗り換えた時,(量が少ないから)物足りなく感じて「ヘルシーなんだからもうちょっと食べてもいいよね」となってしまうことだ.「人は低脂肪食品を食べる時,罪悪感を感じない」(コーネル大学の研究より*)そうだから,この可能性は大いにある.そうなると果たして,H高の自動販売機は肥満対策,健康対策として良いのやら悪いのやら?
 ところで罪悪感を感じない!というのは,アメリカのスーパーで買い物をする時、ついローファットに手が伸びる私にはホントに耳が痛い言葉だ.ただし最近の私はもっと複雑だ.罪悪感を感じないことに罪悪感を感じ始めているのである.ややこしい言い方だが、要するに『低脂肪だからちょっとくらい多く食べても大丈夫だよ〜〜』と自分に甘くなる→うまく乗せられてしまった→くやしい!という感じだ.まあどうあがいても、結局は自分が賢くなって気をつけるべきことなのだが・・・それにしてもいちいち計算するのは面倒だ!


 だからというわけでもないだろうが,アメリカでは2004年頃から1パッケージ100キロカロリーというスナックが発売され,人気になっている(本書p207で触れたが,今回実物を見ることが出来た.日本でも売られている).Nutrition Factsは一袋あたりで書いてある.いちいち計算しなくてもいいのでとてもわかりやすい.量自体もそれなりに手頃(「たったこれだけ!」と失望する人が多いとか)だから食べ過ぎ防止にも効果がある(?)はずだ.同じ量のスナックでも,複数の小袋(100キロカロリー×4)を手にする方が,袋(400キロカロリー)より,食べる量が少なくなるという調査結果もある*

日本でも売っています

1袋90キロカロリーもあり
 このように手を変え品を変え,次々に“ヘルシー”(低脂肪,無糖,低カロリーなど)を掲げるスナック菓子が売り出され,実際にそれが売れている.これが国民的肥満が大問題になっているアメリカの現実である.私なんか「そうまでして食べたいかなあ」と思うのだが・・・そうまでして食べたい人と,そうまでして売りたい企業のいたちごっこ(?)はまだまだ続きそうだ.

大バケツポップコーンを子どもに持たせるのはだれだ!
*Brian Wansin(2006)Mindless Eating: Why We Eat More Than We Think will literally change the way you think about your next meal. ISBN 978-0-553-38448-2